御座の方言集     森田利一編


A B 言葉 意味(左の項目Aの○は広辞苑第六版にも見られる言葉。項目Bの◎は御座郷土史にも見られる言葉)
【た】
  けじめのつかない行動。後始末の出来ない人。ずぼらな人。又は尻に締まりのない人。括りのない人。
だあだあ →<だあ>
たあ (田人)田で働く人。
(大根)
たいごお 自由に。思うがままに。あるいは如何様にでも。気随気儘に。
だいこ (大根漬け)沢庵漬け。
いじけ 大事ない。差し支えない。
だいじん 大切な物品。
だいじなもん (大事な物)
だいじょおかん (太政官)自分の思い通りにならないと辛抱できない人。我が儘な人。又は他人のことは考えず好き勝手に振る舞い行動する人。
だいじんこ (大事ん子)大切な子供。
たい 対々。互角。五分と五分。
だいいごっぽり その物すべて。全部。ありったけ。あるいは根こそぎ。
だいとり (台取り)陣取り。場所どり。場所の確保。
だいない (大海)大海原。洋。遥か沖合い。
だいぶと ほとんど。八分通り。
だいおあみ (大謀網)定置網のふくろ網の一種で長円形をしている。大型で数隻の漁船で繰り広げる漁法。御座地区では以前はその小型(角網という)で漁をしていた。 
たいま →<たいたい>
岸辺。海岸の近く。陸地に近い海辺。
たかんぎ (高盤木)舟を曳く際に使用する高い盤木、又は高く作った木片。
たかまにな 鼻高々となる。自惚れる。
たかやげ (高盛やげ)見上げるほど高くご飯を山のように高く盛り上げる事。山盛り。てんこ盛り(<てんこもり>の項参照)。てんしゃか盛り。
たからふみ (宝踏み)ケンケンで敵陣の宝を踏みあう主に冬の遊戯。
たかる @(集る)多く集まる。むらがる。A人に強要する。
たきつけ (焚きつけ)j@漁師が夜、あかり(照明)を利用して獲る漁法。A紙や枝葉など火種に適した物。
たきつける @カマドに薪や木の枝を差し入れて火をつける。もやす。A煽りだてる。唆す。
たきもん (焚き物)薪。木の枝や葉。
ぐりつく (手繰り着く)@手で綱や網をたぐって目的地に到着する。A手前に食べ物を引き寄せてむしゃぶりつく。
  たけ 猛々しい。
ける (猛る)大声で喋る。大声で我を通す。啖呵を切る。
たご (担桶)糞尿を入れて運ぶ桶。
たこばた 凧。
だこみ (多混)いろ々混ざり合っている。混合。
たごめる (手繰り曲げる)木の枝や物を穏やかに曲げて近くに引き寄せる。
たごろく 水を容器に入れて運ぶ際に上わ水が揺れ動いて容器より流れ落ちる。
たごを (担桶を割る)大失敗をする。仕損じる。しくじる。
たし @数少ないこと。品不足。A足しなさい。
そく (多足)援助。補うこと。
たたきあ あっちこっちとと方々を出歩くこと。
たたきけす (叩き消す)打ち消す。
たたきしゃく (叩き拉く)@叩き潰す。A物をたたいて小さく潰す。
たたきみじく 顔面を強く平手打ちする。
ただぐい 代金を支払わずに飲食すること。(無銭飲食)
だくさ 物品を粗末にすること。
だくそ →<だだくさ>
だだじけ (駄々時化)土砂降りの雨。豪雨。
なおる 次第によくなる。以前にもどる。
ばしり 急いで走ること。慌てて走ること。
だだびろい (徒広い)広場や空き地等の広大な状態を形容する言葉。
だだぼだ @金遣いが荒い。出費が多い。A尻に締りがない。
だだもり @雨漏りがひどいこと。容器より水が多く漏れること。注→木製の桶や樽や(たらい)が乾燥して隙間ができ水があふれ出ること。 
だだらこうずい (大洪水)大雨で川(河)の水が溢れている状態。大水。大量の水。
  ちがあかん (埒が明かぬ)仕事がはかどらない。仕事のきまりがつかない。(この反対が「だちがあく」。)
がわり 性格が悪いこと。
小鳥の赤ちゃん。雛。
たちゃがる 驚く。吃驚する。
たつ (発つ)海面に上がろうとする。(海女用語)
たっかかす 火を勢いよく燃やす。大篝火のように燃やす。
たっ 赤ちゃん言葉で、立った、又は立ちなさい。
たったいまし 今直ぐ。ただちに。
だーで より多く。仰山。たくさん。
たっぱらぐい (多腹食い)牛飲馬食。度を越えて飲んだり食べたりすること。 牛飲とは牛のように多く飲むことの意味。馬食とは馬のように多く食べることの意味。(その類義語は鯨飲馬食・暴飲暴食・痛飲大食…等々。)
たっぺっぺ 相殺。差別して帳消しにすること。
    たっぽばれ 大きく腫れあがっている状態。
たっぽれみち 潮が最高に満ちていること。
タニシ。
たて @魚の群れを網で取り囲み、網の中の魚をひしや竿で突いて獲る漁法。特に鯔だてがより多く行われた。A種類。性質。階級。
たていたにみず (立板に水)弁舌爽やかに、迷う事なく水の流れの様にさらさらと。歯切れよく。
だてこき (伊達こき)派手な服装を好む人。
たてこます 力走する。
たてつづけ (立て続け)次々と連続で。
たてなげ 相手と対抗しても、とても勝ち目のないこと。
たてびしゃく 襖を強く力を込めて閉める。
たて (仕立て船)依頼されて運航する船。
たてまき 大掃除。
たてつる (奉る)この地区でもお盆の三箇日、仏前にお供えした品々を海に流す行事を精霊流しと言うが、その仏前よりの品々を流すまでの一連の行動を特に表す言葉。
たてる 船底を火で炙って乾燥させて付着物を取り除き船底の船虫も殺す一連の作業のこと。
たなぼと (手洗元)食事の後の洗い物。
たなもん (種物)畑に蒔く植物の種のこと。
たねる (束ねる)@束にする。A束にして重ねる。
のき (狸)@タヌキ。A人の目をあざむいたり眩ましたりすること、あるいは人の喩え。
たのしや (楽し家)金満家。お金持ちの家。
たのみたっぱい 人に頼んで助けを求めること。三拝九拝。
たのむし (頼資)何人かがお金を出し合って、お金の必要な人に融通する仕組のこと。
たばいむしがくう 大切に保管している物を誰かが目をつけていて、何時かはせがまれて手放すことの喩え。
たばう (貯う)大切に保管する。又は貯える。
たばな (玉菜)キャベツ
だぼ @風の当たらない島影。入り江。A船の通った後の余波。
たぼねをたやす 自分の貯えてあった金を使い果たす。
だぼら (駄法螺)つまらぬことを大きく言うこと。又はでたらめ、大法螺吹き。
たぶらかす (誑かす)惑わす。だます。
(たも)(手網)魚を掬い上げる道具。口の開いた網が袋状になっていて柄の付いているもの。
たま (玉貝)あこや貝。真珠貝。
から 最初から。始めから。
だまくら →<だまをくわす>
まけ 容器に入っている物が何かのはづみで多く外にはみでること。倒れ出ること。
まげる (魂消る)吃驚する。
だまりもんのへくさい (黙り者の屁臭い)黙っている人程、あやしく思われることの喩え。
だまをくわす 人に嘘を言う。人を騙す。いつわる。
だめ だらしない。身嗜みのない。(そのような人を「駄目八」という。)
ため (矯める)形を正しく直す。
たもれ (賜れ)下さい。
らす (誑す)おだやかに説得する。
だらける 締りがなくなる。たるむ。なまける。
たらふく (多良腹)お腹いっぱい。満腹。
たらしころばす 気嫌をとる。宥める。あるいは心をやわらげしずめる。
たらわん 手を伸ばしても届かない。
たらん (足りない)
たらんたし 不足している分。
悪魔。魔物。
がつく 悪魔がやどる。体内にすみつく。
るごえ (樽肥)魚の骨や内臓を樽に入れて腐らした肥料。
だるむ 「弛む」ゆるむ。
  ものを確認する時の言葉。
だれかれなし (誰彼なし)相手を選ばず。相手をかまわず。誰でも。
だれげ (誰家)何処の家。誰の家。
たれながす (垂れ流す)放尿する。
だれや (誰や彼や)あの人もこの人も。我も人も。老若男女。老いも若きも。
(垂れる)@締りがなくなる。A体がだるい。又は飽きてくる。
だんご @団子。Aきつく絡まり合った状態。
だんごじる (団子汁)小麦粉やつみれの団子が入った汁。
んごになる (団子になる)いろいろ様々な物が一つに絡み合っている。
たんこぶ →<こぶたん>
んころび もだえ苦しみのた打ち廻ること。七転八倒。
たんすのこえ (箪笥の肥)身に着けない衣服を何時までもタンスの中に仕舞い込んでいること。
たんだえる 手探り当てる。探し当てる。又は尋ね当てる。
だんだらおび だらりの帯。後ろに長くたらした帯。舞子さんのしている帯。
だんだら 物を整理することなく散らかし放題。
だんづかに (段塚に積む)高く積み上げる。
だんとば (卵塔場)弔い場。
んない 大事ない。
(堪能)@充分なこと。満足。A厭きること。嫌になること。
だん @(段腹)お腹が大きくてくびれている人。A失敗。しくじり。やりそこない。
だんばらかえす 骨折り損にふてくされる。うんざりする。
んべ 小型の舟の一種。
たん 筏。
たん 反物。
【ち】
(血)
ちあい (血合)魚の背骨に沿って肉の黒ずんだ部分。
(近し)心やすい。親しい。又は昵懇の間柄の。
ぐい 夢中。熱中。
ちくてん →<ちくらてん>
  ちくら 強走。疾走。疾駆。
ちぐはぐ 物と物がバランスがとれていないこと。
ちくび (乳首)乳頭。
ちげ 漁師の道具箱。
ちこんき (蓄音機)
ちすんばく 婦人病の一種。
ちそ シソ。
ちぢかむ @(縮かむ)長さが短くなる。縮む。A寒さで手や足などが思う様に動かない。かじかむ。
  柑橘類や実を付ける野菜類が花が散って実になり始めの状態。
  ちっ (小さい)細い。
っち 赤ちゃん言葉で、虫。
ちっちゃ →<ちっさい>
っぽまう あわててかけずり廻る。
  ちとばか ほんの少し。僅か。
ちとばけ →<ちとばか>・→<とばけ>
  小さい子供。
ちびっちょ →<ちび>
ちびりこびり ごく少しずつ。
ちびる @(千屁る)おしっこを漏らす。A重い荷物をもって足元がふらつく。→<ちちぼ>
ぶく 風が強く吹き荒れる。
ちぶんなし (知文無し)知恵や学のない人。
ちべ (恥部)女性のシンボル。外性器。
  ちべこべ @あーだこーだ。あれだこれだ。Aあれこれと文句を言う人。
ちべらこべら →<ちべこべ>
ちぼ @掏摸(ちぼと発音)。A結び玉(ちぼと発音)。
かね 特に小さいこと。こまかいこと。
ちまいごと 肝心な話になると他の話でごまかそうとして話に応じないこと。
むく 衣服を剥ぎ取る。むしりとる。
ちもどろけ 血まみれ。
ちものくさ 藁草履の一種。履物。
ちゃあづ (茶漬け)魚の刺身を熱いご飯の中に入れ熱いお茶を注いで刺身を半煮の状態にして飯と一緒に食べる和食料理の一つ。
ちゃおけ 小さい木製の桶。
ちゃちゃめちゃこ (茶々滅茶こ)相手より口々に批判を受ける、あるいは批判する様を表す言葉。
  ちゃちゃらちゃっぽ 手持ちの金を使い果たすこと。すべて使い果たすこと。一文なし。
ちゃっかり 性格の明るい人。気性のさっぱりしている人。
ちゃっきん 釣り用具の一種で撒き餌をいれる金具。
ちゃっちゃ 素早く。手早く。機敏に。
ちゃをいれる。 (茶々を入れる)人の話に水を差す。又は横槍を入れる。
ちゃぼる 人の物を失敬する。
ちゃ (茶屋)その年に亡くなった人に施主が施す行事の内の一つ。お盆にそこで子供達に菓子やきなこ餅などを施す。
ちゃらー (ちゃら)借り貸しなし。貸借を清算すること。
ちゃらん →<ちゃちゃらちゃっぱ>
ちゃんと 正しく。正確に。
ちゃんばら 抜刀して切り合うこと、勝負すること。
ちゅうすけぐさ (忠助草)カタバミ。注→昔、忠助と言う人が初めてこの地に植え付けたことから、命名された。
ちゅうちゅう あかちゃん言葉で、ネズミ。
ちゅうとお (中途)中程。仕事の半ば。
ちゅうらくまう 慌てて疾走する。走り去る。力走する。
ちょいちょい @たまに。まれに。忘れた頃に。 A時々。再々。度々。
ちょいーつ 少しずつ。
ちょいとも 少しも。
  ちょいまちょいま (丁間丁間)所々。まばら。又は要所要所。→<あいまこいま>
ちょお (帳落ち)記載漏れ。
ちょお 軽挙妄動。→<ちょかちょか>
  ちょける 戯れる。ふざける。
ちょおさいぼお (逃散坊)人を見下げる。小馬鹿にする。侮る。嘲笑する。
ちょおず (手水)トイレの際の手洗い水。注→この地区では何時の間にかトイレ、雪隠、厠等々の意味に使うようになった。
ちょうずばち (手水鉢)手洗い鉢。
ちょおちゃく 折檻。いたみつけること。
ちょおちん (提灯持ち)男女の仲を取り持って話をまとめる人。世話役。
  ちょかちょか 軽はずみな行動をする人。軽率妄動の人。
ちょかなべ 小さい土鍋。
ちょき 海女が作業時に身につける上衣。
ちょける →<ちょおける>
ちょちょ 赤ちゃん言葉で、魚。
ちょちょかし (挑々しい)軽はずみな。心に落ち着きのない。又はそのような人。
ちょちょぎれる 涙が出て止まらない。
ちょっ 挑発。
ちょっこらちょいとで 少しのことではとてもとても。又はそうたやすくは。
ちょっちょ →<ちょちょかし>
ちょっぺにする 人を侮る。小馬鹿にする。
  ちょつりこつり →<ちびりこびり>
ちょちょぼ (点々)似たり寄ったり。どっこいどっこい。
ちょかす からかう。嘲弄する。
ちょ 小船。
ちょろい @何を行っても思う様には出来ない。A簡単な。
ちょろこい @手ぬるい。Aとろい。
ちょろまかす 誤魔化す。又は欺く。
ちょんがあ 男性の独身者。
ちょんぎる 物を切り離す。
  ちょんちょ →<ちょちょかし>
ちょんちょんして 心を弾ませて。浮き々して。
ちりくた 塵。又は埃。
ちろちろ 日が沈んで、少し暗くなった時間帯。又は夜明け前のうす暗い時間帯。
ちろまじろ 付き纏って邪魔になる様を形容する言葉。
@赤ちゃん言葉で、お金。駄賃。Aすわること。
んころ 小さいこと。
ちんからばい 独楽。
んたらんたら 海上で波が高く舟が左右に傾く様。又は左右に揺れる様。揺らぐ様。
ちんちくりん 背の低い人。小さい体格の人。
ちんちころり 男女仲睦まじいこと。
ちん 赤ちゃん言葉で、男根。
ちんびり →<あっかいひもみせん>
ちんぷらとう ちんぷんかんぷんな人。
(珍棒)男性のシンボル。男根。
ちんぷんかん (珍文漢)(珍糞漢糞)(珍紛漢紛)話す意味がよく判らない、あるいはその意味の判断がつかない様。
【つ】
ついてい 従って同行する。他人の後に従う。
ついり (梅雨入り)
クロダイ。
つかいあるき (使い歩き)用足し。
つか (使い子)家族の中でお使いの出来る年頃の子供。
つかいもん 進物品。贈答品。
つかいびしゃく こき使う。
つかす @追い波に乗って船を前に進める。A→(すかす)
つかましもの 袖の下。賄賂。
つかめとる (掴まえている)物につかまる。つられる。
つかめら 捕まる。とらえられる。
つかめ @捕らえる。A物に掴まる。しっかり握る。
つかる @(浸かる)水が家内に浸水する。(風呂に入ることを風呂に浸かるとも言う。)A(漬かる)漬物がつかる。 
つぎ 裁縫。針仕事。
  つきこねる (搗き捏ねる)@餅のように混ぜ合わす。A性格の違う人と人とを足して2で割ることの意にも使う。
つきじぇる →<つきこねる>
つきなにつく 付きまとう。
つき @(憑き物)人に取り憑く動物霊や悪霊。A(付き者)夫から見て妻。妻から見て夫。
つきゃが 思いあがる。自惚れる。
つく (捏ねる)@物を整理しないで投りっぱなしにする。又はそのままに捨て置く。A疲労困憊する。すごく疲れて、その場にうつぶせになる。又はその場に伏す。倒れ込む。
つくりみ (造り身)おさしみ。魚のお作り。
つけ (付け)店で後日の支払いで物品を買うこと。
つちころ →<つちまめぐり>
地面。地辺た。土の上。
  つちまめぐり 土まみれ。
つっこむ @隙間に物を差し込む。A他人の意見にさからう。反対する。
つっつきはたす 使い果たす。
つっとこさ 途中寄り道せずに目的地に直行すること。
つつぬけ (筒抜け)@密談がすべて外に漏れること。A話し声がすべて外部に聞こえること。
つて (伝)手ずる。手がかり。手引き。
(常着)普段着。
つねづね (常々)普段。日常。
つばめる 蓄える。貯える。
つべこべ →<つべらこべら>
つべたい (冷たい)冷えている。
つべこべら あれこれと文句を言う様。→<ちべこべ>
つぼ ずばり的中しているところ。
  つぼる 少しあげる。衣服の裾をあげる。
つまらん (詰まらない)面白くない。値打ちがない。まずい。
@肩や首が凝る。A混雑する。又は車が渋滞する。あるいは満員である。満席である。
つめかわにゃ (詰め叶わにゃ)どうにも仕方なければ。他に方法がなければ。最後には。
  ぎる (爪切る)親指と人差し指とを合わせて強く相手を捻る。
(詰める)容器や袋に物を詰め込む。
  つもくがわん 前回と今回の言っている話の内容があわない、あるいは違う。
つやつや (艶々)年甲斐もなく艶めかしい様。
つやがる (吊り上る)衣服の丈が短くつり上がっている。
つら (面)物の表。物の表面。
つらはじない (面恥ない)あつかましい。厚顔無恥の。あるいは面目ない。
つら (辛まし)@億劫な。そこから転じて、嫌だ。A気の毒だ。
つられる @何かに掴まる。手に握り持つ。Aつり込まれる。相手の罠にかかる。
つりせん ものを吊す綱、又はそのたぐい。
つるくす (吊るす)
つるどる 交尾している。
つるむ 交尾する。注→同義の「つるどる」は「つるんでいる」の変化。
仲間。グループ。連中。友だち。
つんけん 機嫌が良くない時、あるいは他人に当り散らす時に見せる表情や行動を形容する言葉。
つんつくつん 衣服の丈が短い様。
づんぼろあせ 大粒の汗。
【て
@(手合)仕事の相棒。相方。仲間。A手で合図をする。
ていし ものを沈める時に使用する重い石。
てがいしょしだい (手甲斐次第)自分の甲斐性次第。
でがいのおじ (出買いの小父)浪費癖の男性。
てがう @手向かう。立向かう。A対物を自分の手で確認する。
てがた (手形)@約束手形や融通手形。A水揚高。
てがたをもらう (手形を貰う)@大漁をする。A現金化すると言う意味にも使う。
でかぶつ でっかい物。大きい物。
てかやす (手返す)干してある物を上下返す。表を干したり反対を干したりする。
(敵)親しくしている同年輩あるいはそれ以下の年の男の人を指す三人称。
自分が持っている現在のお金。又は路銀(手金)。
できぶつ (出来物)何をさせても秀でている人。
できもん おでき。腫れもの。
(木偶)木で作った人形。
てぐさ (天草)海藻の一種で寒天の材料(原料)となる海の草。
てぐすねひく (手具脛引く)自信を持っていて今か今かと楽しみに待ち構える。
でくのぼう (木偶の棒)役立たず。何をさせても駄目な人。
てくらがり 手の影で暗くなること。
てくらもくら 何とかしてやり繰りをすること。
  てここし 手利巧。手まめ。
てこねる せしめ取る。自分の物にする。あるいは手に入れる。
てごみ (手込め)おしおき。折檻。
でころぼ 人形。
てざぁ (手棹)物事を用心すること。警戒すること。
てしお (手塩)小皿。
でしお (出潮)@湾内から外海へ流れる潮。A北から南に流れる潮流。
てしおにかけて 手間暇かけて。大切に。(「育てる」に懸かる言葉としてよく使われる。)
てしゃ (手者)手利巧。巧者。
てす →<てすてん>
  てすてん 無漁の状態。何もない状態。空。
でずい (出ず入らず)出入りなし。貸借なし。
でぞこ (出底)北東から南西に流れる海流。
てだとって 別々に。退いて。
てだすけ (手助け)援助。
てだんにのらん (手段に乗らん)計画や煽てに乗らない。
てちだいど (手伝い人)
→<でっこん>
てつかず (手付かず)未だ誰も手を触れていない物
てっかまっか →<まっかてっか>
てづかみ (手掴み)手で掴んで食べること。
でづき 出産予定月。産み月。臨月。
っきりと 間違いなく確実だと思っている時の心の状態を表す言葉。
っきりぱっきり 物事のけじめを付けること。決着を付ける。又は決断すること。
てづける 整理整頓をする。
てっこう @(手甲)作業時、害虫や日光を避けるため肘から手首までの筒状の手の甲を覆う布製の物。例→手早。脚絆。
  でっこん おでこ。額。みけん。
  てっ (手伝い)援助。手助け。
てっとりばやい (手っ取り早い)おこなうことが早い。
っぱりと 派手に。盛大に。
てっ @働き盛りの逞しい屈強な人。A人間としての最盛期。
てっぺん (天辺)素天上。頂上。
(鉄砲)
てっぽのたま (鉄砲の弾)行ったきり帰ってこないことの喩え。
てっびし 銛。魚類や海獣を刺す道具。6〜7mの竹の先端に二股の鏃(やじり)を付け、後方に付けたゴムを鏃の根元まで引き伸ばし、その伸縮を利用して一気に魚を突く漁具。
てて @お父様。A夫。旦那。主人。
ててこし →<てここし>
てどり (手取り)手中に入るお金。
てどりいどり (手取奪い取り)手に手に物品を奪い合うこと。
てどる 入手する。求める。
でながれる (出流れる)外に出て寛ぐ。
てにはがない 手持ちぶさたである。
てねばい (手粘い)手でする事が粘い。遅い。
てのぎ →<てのごい>
てのごい (手拭)タオル。
てのこっぽ (手の平)手の甲のうら側。手の平。
てのこっぱ 手の平を擦り合わす。
てのひらではわす (手の平で這わす)大切にやさしく育てる。
(出刃)小刀。ナイフ。
てばあみ 元も粉もなし。台なし。すべて失うこと。
てびかえる (手控える)手加減する。又は控えめにする。
びしごい すごく厳しい。厳格な。→<てんぽな>
  てぼ 手。
てまつのり (手纏り)手枷。邪魔。
てま (手間取り)作業をする職人の下働きをする人。
てま (手間取る)時間が少し長くなる。
てまめ (手実)手利巧。又は何時も手仕事をしている人
人の目を晦ますこと。誤魔化すこと。
てやい 仕事仲間。グループ。
でやい 公共奉仕。
てら (寺抜け)人に気付かれない様に静かに抜け出ること。注→昔、寺小屋で和尚さんが子どもを集めて読み書きを教えた頃の名残の方言。
ーぇ ものごとを確認しようとする時の言葉。
てんがさもかかん (天瘡も掻かん)@何事も行おうとしない。A痒い瘡も自分で掻こうとはしない。
  てんがらこ (転空こ)いたる所所を探し廻して、物を辺りに散らかし、掻き回すこと。(その動詞を「てんがらかす」と言う。)
(転機)またと無い絶好のチャンス
きにあう (転機に逢う)絶好のチャンスに出逢う。
てんぐになる (天狗になる)高慢になることの喩え。
てんくら 人目を晦ますこと。人目を誤魔化すこと。
でんぐかいる (転繰返る)上下一回転する。
でんぐかやす 「でんぐり返す」の訛。ひっくり返す。
てんご あやまち。
てんこぼし (天光干し)天日を受けて干潮時に岩や島や海藻が日光を浴びること。
てんこ (天こ盛り)山盛り。くずれ落ちる程高く盛る。(てんこ)は天骨の略で頂上、つまり上の方を意味する。新潟、岐阜、山口、或は高知の外、多くの地域で(頂上)又は(てっぺん)を表す方言として(てんこ)(てんこつ)、又その変形で(てんご)(てんきょ)(てんしゃか)などが使われている。
てんしゃか →<てんこもり>
でんじでんばた (伝地田畑)
てんでに 各自に。個々に。各々。めいめいに。
てんてん お葬式。
でんでんむし カタツムリ。
てんてんと (転々と)@次から次へと。
てんど やかん。かんす。注→囲炉裏の上から吊り下げて、お湯を沸かす茶釜のこと。
てんのお 天王祭。
てんびにつる (天秤に吊る)縛り上げて天上から吊り下げる。
んぽな ひどく感心する様を表す言葉。意外な。非常な。甚だしい。すごい。注→この地方ではテンポな料理という言い方がある。
んぽに とっても。すごく。
てんぼのてづち (手棒の手槌)不器用。
てんま 伝馬舟。はしけ。本船内の荷物や人を陸に運ぶ小舟。
【と
どい (どれだけ)いかほど。
どいに どんなに。
どい →<どいらかい>
いらかい 特大の。でっかい。→<すってらかい>
どえらかい →<どいらかい>
どおけ 糞尿を貯めて置く畑の隅に掘った穴。あるいは大きい甕(かめ)。
おごし (胴腰折る)失敗する。しくじる。
とおしに (通しに)しょっちゅう。毎日の様に。
とおじん (唐人)当てはずれのことを言う人。
おぜ (どうだい)「俺の言ったように間違いなかっただろう」と思った時などに出る言葉。
とおしる (吐汁)吹き出物から出る分泌する体液。又は出血後に出るリンパ液。
どおせ いずれは。
どおぞこおぞ →<どおなりこおなり>
とおとお 遂に。
どお (動無い)草臥れている。疲れて動くのもすごく辛い。
どおなか →<どなか>
  どおなりこおなり ようやく。やっとのことで。又は曲がりなりにもどうにか。
ずいぶん以前に。とっくに。
のむかしに (遠の昔に)随分以前に。
とうふ 防波堤に使うコンクリートの鋳型のこと。
おまん 怠け者。胴欲者。無精者。
とおめがね (遠眼鏡)望遠鏡。
とおや (祷屋)神社のことに対してはすべての管理、維持している地区内神社の役人
どおらん (動乱)時化。暴風雨。
どうるいこ (同類)同じ種類。
  どかぁら 何処か知らない所。
とがとが 澄みきった水。清水。
める @(咎める)怪しむ。うたがう。A傷口がうずうず痛む。又は膿む。
厚手の布を筒状にした頭から首の辺りを覆う防寒用具。
どき …など。
とぎ 仲間。友達。朋友。
ときしおなし (時潮無し) 四六時中。いつもいつも
ぎつい @ものの程度、あるいは物事の程度が過ぎる様。Aとっても厳しい。
どきゃあら →<どかぁら>
  ぎりまあす 荒々しい口調で言う。激しい口調で言う。
きる →<どきりまあす>
ぐさい 悪臭がする。強烈な臭いの。
ぐらあす どつく。どやす。殴る。
とぐわ (冬瓜)トウガン。
荒布から出る灰汁。
けち (吝嗇)下劣な人。けちる人。物惜しみする人。
どげなもん どのようなもの。
どげなんぞ 如何ですか。様子はどうですか。
どげに どのように。どんなに。
どげにもこげにも どの様にもこの様にも。又はどうすることも出来ない。
どげまげ まごつく様。迷う様。
どけを 吐血する。口から血を吐く。
ごい 度の過ぎた濃さの。
どこいなと どこえでも。
どこぞか (何処か)
とことん 何処までも。最後まで。
どこも (何処も可も)何処もかしこも。
どこや (何処や彼処や)方々。いたるところ。どこもかしこも。
どこら (何処ら)どの辺り。
とごり (澱り)@残り物。残品。A水や湯の沈殿物。
とごる 容器に入った水の中で物が沈殿する。
どこんじょくさり 根性が良くないこと。性根が腐っていること。
とさ 南南西の風。
とさかにくる (鶏冠に来る)頭に来る。
  どしこむ 一ヶ所に多くの人が一瞬により集まるる。→<ほれこむ>
どしゃげる ぶつかる。衝突する。
じょからい 度のすぎた塩辛さの。
  どじくさり 無精者。怠け者。
どじ →<どじもくさり>
@ど突く。どやす。殴る。A短刀
特大の。
だか 岸辺の近く。海岸近くの周辺。
とちかち 忙しい様。急ぐ様。慌てる様。
とちく 慌てて走る。力走する。
とーちか 厚かましい。恥を知らない。ずうずうしい。
とちょお 山の頂。天辺。頂上。
とちる 失敗する。しくじる。
どつおいつ 思い迷う。思い悩む。
づく 強く叩く。
っくら →<とっくりと>
っくり (徳利)口の狭い酒など入る容器。
  とっくりと 納得するまで。得心するまで。満足の行くまで。
とっくりじ サイズの大きい椎の木の実。
どっこいどっこい 負けず劣らず。互角に。
っさり 多く。沢山。仰山。→<おもさま>
とったりくんだり とっ組み合い。
どっちゃ いずれかを選ぶ時の言葉で、こちらかあちらかのいずれですかの意。
とってつけたおな (取って付けたような)わざとらしい。
ってらかい →<すってらかい>
とっと 赤ちゃん言葉で、鶏。
とっと 自分が常に気に入っている品物。又は大切な物品。
とっと 保管する。
とっ 受け取っておけ。
どっぽん ビー玉で遊ぶ遊戯の一つ。
どて でっかい。大きい。
てつもない 予想外の。予想以上の。
とと 幼児語で、赤ん坊、赤ちゃん。
父。おやじ。
ととかかぶね 夫婦舟。
雷。
  どなか 小船のまん中部分。
→<いがみ>
  とばけ ちょっとばかり。少し。ごくわずか。
とばしり (飛沫)しぶき。水の跳ね返り。
  とばくらかす 疾走する。
とばっちり (飛ばっ散り)外での鬱憤をその場にいる人に当り散らすこと、あるいはその巻き添えにあうこと。
とびいる @突然に飛び出す。Aびっくりする。
びき (唐黍)トウキビ。
とびゃがる @(跳び上がる)はずみを付けて飛びはねる。A吃驚する。驚く。
とびゃがり 落ち着きのない軽はずみな行動をする人。
とびゃげる 突き当たる。
ぶかり 海底の深い場所。
ぶく 植物が大きく育つ。
ぶとい とっても太い。
どぶ 濁り酒。又は白酒。
どべ (どぼ)ハゼ。硬魚綱スズキ目ハゼ亜目ハゼ科の総称。
とへん (答返ん)受け答え。
どぼづ 糠漬け。
  とぼと (戸外)家の外。扉の外。家外。
まえ 磯人こぎ。海女舟の船頭。
どまくら (艪枕)艪桁(ろげた)。舟の後部にある横桁。
とまめ 空豆。
める 書いた字の上を更に書く。修正書きをする。
とも (艫)舟の後部。
どもこも どうにも。こうにも。とてもとても。たどたどしい様。
どもこもならん 事に行き詰まる。八方ふさがりになる。思い悩んでもどうすることも出来ない。
ともて その様に思って。そう思い込んで。
ともと 庭。→<とぼと>
らん (どうにもならない)先方の言い分を断る際の言葉。嫌だの意。
どや →<だれぇ>
とやあせん 何もとらない、又は盗まない。
とやげ 持っている物を取りり上げる、又は奪う。
やす 強く殴る。どづく。
どやどやと 多くの人が行き交う様、又は行き来する様。
どやまくれる 一度に多くの人が集まる。殺到する。
とられた 金品を奪われた。
とりえ (鳥居)
とりかじ (取り舵)@船を左に転ずる舵の取り方。A船の左舷。
とりこ 逮捕。つかまること。
とりこむ 天日に干している物を家内に取り入れる。
とりどり (取り取り)色々。様々。
とりやい 奪い合い。
→<だれぇ>
どれ どれだ。
どれ どれか。
とろい 動作が鈍い。のろい。もたもたしている。→<とろくさい>・→<ちょろい>
どろ (泥海)海水の濁っている状態。
どろける (蕩ける)型が崩れる。
  とろく →<とろい>
どろをかぶる (泥を被る)他人の罪を被る。又は背負う。
どわい どれどれ。ものを確認する時に使用する言葉。
どんかなし (鈍暇無し)無頓着。無関心。又は鈍い。愚かな。
どん 体形。体格。
がらし (唐辛子)
どんぎれ 固い太いうんこ。大便。
どんくさい 動作が鈍い。不利巧な。
んぐりめ 大きい目ん玉。又は大きい眼。
んげつ (鈍尻)@最後尾。A大きいお尻。
とんこ 死んで亡くなること。往生安楽。
どんざ どてら。
とんじ (鈍児)とんま。間抜け。
とんじゃくなし 事におかまいなし。
んじーぃ 大きいシラミ。
とん 逃亡。
とんだこと とんでもないこと。夢にも思っていないこと。
どんづき (土ん搗き)住家を建てる際の基礎固め。土を固く打ち固めること。
  どんづら (鈍面)不器用。下手糞。
どんつらげ (鈍面気)不器用な様。
とん 損もなく得もなし。まあまあ。
どん 妊婦さんの大きいお腹。又はたいこ腹。
とん (鳶)
どん 生後間もない動物の子。
とんぶりこ 誤って川や海に落ちる様。

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